ローレル・エコー2000年度演奏会


日時:2000年4月16日(日) 14時開演

場所:伊丹アイフォニックホール

プログラム:

1.林光曲「月・わたし・風」(1992年度委嘱作品)

   ながらえば
   日が落ちた
   月がある
   この世は暗い   

     指揮:西岡茂樹
     ピアノ:長尾有子
     合唱:ローレル・エコー

2.イギリス合唱曲集

   Sing we and chant it
The silver swan
Fire! Fire!
Steal Away
The Blue Bird
The Mermaid

     指揮:Robert Barsby
     合唱:合同

3.Benjamin Britten "Choral Dances from Gloriana"

Time
Concord
Time and Concord
Country Girl
Rustics and Fisherman
Final Dance of Homage

    指揮:Robert Barsby
    合唱:合同

4.高橋悠治「クリマトーガニ」

    指揮:田中信昭
    合唱:合同

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豊中混声合唱団副指揮者の山原誉志さんが感想文を送ってくれました。

ご本人の了解の上で掲載させていただきます。

日曜日にローレルエコーのジョイントコンサートに行ってきました。合唱王国イギリスの歌声を聞けるのを楽しみに聴きにいったのですが、簡単にステージ毎の感想を書いてみます。

1ステ  詩:宗 左近 曲:林 光 「月・わたし・風」

 百人一首の歌を切り口にした詩。過去の何時終わるとも知れぬ戦いとその回顧、夕暮れの一瞬がさそう人間の内外の静寂、失われた人あるいは恋、そしてままにならぬこの世と自分への憤懣、などまさに「歳月を積重ねた大人」に相応しい詞と、その濃淡の微妙さを見事に現した音楽。素晴らしい!こういう曲がもっと必要ですよ!!日本には! 
 ローレルエコーの委嘱作品ということもあり手に入った演奏。西岡さんの棒も音楽をまさに紡いでいく、という感じで見事でした。この演奏で「声」を云々する人は「音楽」を知らない人。


2ステ イギリスのアカペラ モリ―、ギボンズ、スタンフォード他

 今回のジョイントのお相手「ニューベリー・コーラル・ソサエティー」は1884年創立(100年以上!)の英国最古の合唱団のひとつ。今回の参加のメンバーは年齢的にローレルとバランス(失礼)のとれた方もたくさん見られました。
 
 古今のアカペラの演奏でしたがこれが最高でした。何といってもみんなが本当に楽しそうに音楽をしているのが伝わってきて、聴いている方まで楽しくなってくる。 
本当に久しぶりにいい演奏を聴かせてもらいました。「苦悩を経て歓喜へ」のようなものは少なくとも演奏では全く感じられません。それだけに西洋音楽の根っこ深さも窺えたような気も・・・。 とにかく良かった、涙でますホントに。

3ステ ブリテンのオペラ 「Choral Dances from Gloriana」より

 合同のステージのひとつめ。2ステージを聞いた後でのブリテンはまた格別。
人数的にも充実していることもあり、ニューベリーに触発されてローレルの声も伸びやか。やはり西洋音楽の近さと遠さを感じさせられましたが、まあ曲自体は「お祝いオペラ」からなので理屈抜きに楽しめました。アカペラ。

4ステ  高橋悠治 「クリマトーガ二」

 高橋悠治の沖縄民謡を素材にした知る人ぞ知る曲を、田中信昭先生の指揮で合同演奏。さすがに歯ごたえがあったように感じましたが、琉球音階や音楽のうねりは楽しんでいるように思えました。それにしても田中先生の指揮は日英双方をも高橋悠治の世界に巻き込む熟達の業。ただ感嘆するのみ。

 とにかくステージ上の人達が楽しんで歌っていることに、日ごろ忘れがちな「歌うということが理屈抜きに楽しい」ということを改めて感じさせられました。
いやーとにかく良かったです。