まど・みちおさんは、やさしいことば、やさしい語り口で、一枚のはっぱから宇宙を描き出す。そのまなざしはとてもやわらかく、そして鋭い。 はっぱにはかたちがある。でもまどさんは、はっぱの「かたち」ではなく、「りんかく」に目を向けた。「りんかく」は存在の境界線だ。「はっぱ」と「くうき」のさかいめなのである。ことばが分け入ることの困難な領域にまなざしを向けていく。そして「はっぱ」ということばをつむぎ出したにんげんの行為を見据える態度。 「せんねん まんねん」は魔法のような詩だ。時空を超えて思いっきり遊んでいるような気持ちになる。人間なんてまだまだだよ。とヤシのみが言っているようだ。崇高で深遠な、しかし心が踊るような歌をめざして。 2005年6月 ハイマート&フリューゲル ジョイントコンサート 委嘱初演 |