どの曲も名曲ばかり、そしてすべて初録音です
ピアノはすべて萩京子さん
そして初演者が一堂に勢揃いした白熱の演奏です
2枚組み 4000円
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ライナーノート |
ことばにこだわり、オペラとソングを書いてきましたが、ここ数年、合唱曲を作曲する機会をたびたび得ました。そのきっかけをつくって下さったのが指揮者の西岡茂樹さんです。このたびの演奏会では各合唱団のご協力を得て、西岡さんが初演してくださった作品をすべてお聴きいただけることになりました。児童合唱、女声合唱、混声合唱、このように並べてみますと、この演奏会のために計画された長い時間をかけたひとつのプロジェクトだったような気さえします。テキストも多彩です。昨年亡くなられた石垣りんさんは『地図にない川』の完成を喜んでくださいました。皆様、この欲張ったプログラムの演奏会、どうぞごゆっくりお楽しみください。 萩京子(演奏会に寄せたメッセージより) 「風がおもてで呼んでゐる」 原曲は、谷篤・谷潤子夫妻の委嘱により、ソプラノとバリトンのための二重唱曲として作曲され、現在の全7曲が揃った形としては1992年2月28日に初演。その後、女声合唱「アルモニ レジュイ」により、全曲クラリネット伴奏バージョンを委嘱、2001年10月20日に山岸陽子のピアノで初演されました。東北の厳しくも豊かな自然の中で懸命に生きる賢治の姿とその宇宙観が、クラリネットと人間の声の美しい調和によって描かれます。 「ファーブルさん」 豊中少年少女合唱団により委嘱、2004年3月20日の第2回定期演奏会において西岡惠子のピアノで初演されました。最初、萩さんから、長田弘さんの「ファーブルさん」の提案があった時に、子ども達には言葉が難しすぎるのでは、という心配をしましたが、萩さんの魔法の杖を信じて受諾しました。結果は予想もつかないほどの展開となり、子ども達はすっかりこの曲の虜となってしまいました。子ども達の歌声とリコーダーの暖かく柔らかい響きが、生命の讃歌を紡ぎ出します。 「地図にない川」 大阪府豊中市の「アルモニ レジュイ」と山口県徳山市の「あい」という二つの女声合唱団の共同委嘱であり、2003年6月1日に桑原典子のピアノで徳山初演、6月8日に山岸陽子のピアノで大阪初演されました。「人生経験豊かな女性が歌うに相応しい歌を」という願いに、萩さんは石垣りんさんの5編の詩を選ばれました。戦後の日本を一人の女として逞しく生き抜かれた石垣さんの言葉はとても深く、そして圧倒的な存在感があります。萩さんの石垣さんに対する敬愛の念は格別のようであり、選び抜かれた簡潔な音で構成されたこの組曲は、逞しさと精細さが同居した希有の女声合唱曲と言えましょう。 「はっぱとりんかく」 京都大学音楽研究会ハイマート合唱団と同志社コール・フリュ−ゲルのジョイント・コンサートの合同曲として委嘱、2005年6月26日に萩さんご自身のピアノにより初演されました。「今を生きる若者達に相応しい曲、大切なことに気付かせてくれる曲」という願いに、萩さんは「まどさんの詩は、とてもやさしいことばでこどもに語りかけるように書かれていますが、存在と無について考えさせられ、また、悠々とした長い時間の流れを感じさせてくれる点が好きです」と応えてくださいました。大学生ならではのみずみずしい感性と知性が光る珠玉の5曲です。 「亡命地からの手紙・道しるべ」 豊中混声合唱団により委嘱、2004年7月3日の第44回定期演奏会において、萩さんご自身のピアノにより初演されました。「愛と平和」を歌い続けている豊中混声のための委嘱曲として選ばれたテキストが、パレスチナの亡命詩人であるダルウィーシュとベトナムの建国の父と呼ばれるホーチミン。祖国の喪失、アイデンティティの喪失の荒波にさらされながらも、強靱な意志の力によって善く生きようとする二人の言葉は、さまざまな表情を見せるパーカッションのエネルギーと共に、地球の未来に向けた祈りへと昇華していきます。 「一本の木の下で」 今回の演奏会の最後を飾る合同ステージのために、萩京子個展実行委員会により委嘱、全出演者により初演されました。幼稚園児から年輩の方まで、あらゆる年代の人たちが共に歌える曲を、との希望に、朝比奈尚行さんが新しい詩を書き下ろしてくださり、萩さんはそれをソング風のシンプルな曲に仕上げて下さいました。曲のなかで、子どもと大人はお互いの存在を認め合い、相互に触発し合って、共にそれぞれの命を生きています。初演はパート別にきれいに整列して歌いましたが、もう一度、アンコールで歌う時、子どもも大人も、パートも、みんなバラバラに混じり合って歌ったら実に感動的でした。このCDには後者の録音が収録されています。ジャケットの写真もその時のものです。 西岡茂樹 |