女声合唱団Stella 第3回定期演奏会 プログラム・メッセージ

 本日はようこそおいで下さいました。早いもので、私がStellaで指揮をするようになってから三回目の演奏会となりました。こうして演奏会を続けることができるのも、聴いて下さる皆様方のおかげであり、心から感謝申し上げます。  

第1ステージのStroope は1953年生まれのアメリカの作曲家で、私とほぼ同世代です。その作風は求心的であり、いずれの作品も魂の深いところで共鳴を呼び起こします。本日の2曲は、「出会いと別れ」がテーマです。人はこの世に生まれ、多くの人に出会い、別れ、そして最後はこの世から別れていきます。その運命を受け入れ、そして、今、生きていることへの喜びと感謝が歌われます。  

第2ステージと第4ステージは、オペラシアターこんにゃく座の代表・音楽監督である萩京子さんの合唱曲です。いずれの曲も、過去に私からお願いして書いていただいた珠玉の作品です。ちなみに萩さんも私と同世代です。第2ステージの「地図にない川」は、やはり女性詩人の石垣りんさんの骨太の詩に作曲されています。この二人の強靱な女性、そして人生経験豊富なStellaのメンバーの生き様と迫力に、男の私は、ただただ圧倒されっぱなしです。第4ステージは、豊中少年少女合唱団と豊中混声合唱団のコラボから生まれた、こどもとおとなが共に歌い合う作品で、Stroope作品と同様、いのちの誕生と出会いがテーマになっています。  第

3ステージの「花さき山」は、斎藤隆介さんの文と滝平二郎さんの絵による絵本が原作です。他人への思いやりの心や、他人のための自己犠牲が、素朴な物語を通じて語られます。このような話を正面切って語られる機会がほとんど無い昨今、伝統邦楽の調べに導かれて、今一度、心に問いかけてみたいと思います。三田邦楽演奏会実行委員会の皆様のお誘いで4月に演奏しましたが、本日は絵本のプロジェクションも交えてお楽しみいただきたいと思います。  

第5ステージの「遙かな歩み」は、今年、生誕百年となる故・高田三郎先生の女声合唱の金字塔とも言うべき名曲です。やはり、日本の良き伝統を土壌にして生きる女の心、形、生き様がテーマで、「地図にない川」とも共振しています。これらは、いずれも子から孫へと世代を超えて引き継いでいってもらいたい大切なものだと思っています。  

以上、欲張ったプログラムです。まだまだ未熟な団ではありますが、心を込めて歌います。どうぞ最後までごゆっくりお聴き下さいませ。

女声合唱団Stella指揮者 西岡茂樹