「詩の中の風景」 石垣りんさんの構成による「詩の中の風景」には、多くの詩人たちによって書かれた31篇の珠玉のような詩がおさめられています。今回はその中から、石垣さん自身のものを含めて4篇使わせていただいています。 そこには生活を通して生まれてくる人生の哀歓が、生(誕生)から死の問題まで含めて豊穣にうたわれています。 この曲ではチェロがコーラスのオブリガートとして用いられています。チェロはコーラスと合体し、浸透し箔・つて、感情表出を補う役割りを担うと同時に、独奏楽器として、調性を基調にうたわれるコーラスに対して、無調や旋法の領域へ飛翔することで、より客観的な立場からもかかわり合います。 長い歴史をもつ由緒あるローレル・エコーの皆さんが、いつも素晴らしい音楽的感性で私たちの曲を指揮して下さる田中信昭氏と、卓越したチェロ奏者の河野文昭氏との連繋の許で、この曲をどのようにうたって下さるか、心から楽しみにしています。 1994.8.17 一柳慧 |
初演時のプロクラムノート